「発行部数のわりに売れている作品」「発行部数のわりに売れていない作品」の違い

[1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事]
こんにちは、財前です。
今回も、西野亮廣さんが過去にサロン内で公開された記事を載せたいと思います。

オンラインサロン 投稿日2018年7月15日(日)

「プラットフォーム」「メッセージ」がポイント。

「発行部数のわりに売れている作品」と「発行部数のわりに売れていない作品」の違いについての考察

『えんとつ町のプペル』の重版(31刷)が決定しました。
発行部数は35万部くらい(海外分が含まれると、もうチョイいってます)。
発行部数だけを見ると、『えんとつ町のプペル』より売れている本は他にたくさんあります。
「35万部」は、それほど大きな数字ではありません。
ところが…
映画が作られたり、
一般の方が各地で絵本展を開催したり、
ARが作られたり、
カレンダーやパズルが作られたり、
今は『えんとつ町のプペル』の“プラネタリウム”と“VR”の話が当時に舞い込んでいます。
『えんとつ町のプペル』には明らかに「数値化されていないエネルギーが宿っていて」、その正体は、『プラットフォーム』と『メッセージ』の2つだと僕は考えます。

プラットフォーム

①町に個性があるので、「世界を拡張する」や「世界の中に入る」といったことを目的とした、ARやVRの『テクノロジー系』との相性がとても良かった。
②『星を見る』がテーマになっているので、プラネタリウムや天体イベントと絡めやすい。
③主人公が『ゴミ(人間)』と『(煙突)掃除屋』なので、ゴミ拾い系のイベントと絡めやすい。
④描き込み量が多く、各ページが『一枚絵』として成立しているので、『個展』や『美術館』が成立する。
……つまるところ、「『○○×えんとつ町のプペル』が考えやすい」ということです。
「作品の認知度が高ければプラットフォームになれる」という、そんな単純な話でもなくて、
 
たとえば又吉君(大好きです)の『火花』で、『火花AR』は少し考えにくい。
『火花カレンダー』や『火花パズル』といったグッズ展開も厳しい。
『スヌーピー』や『キキララ』もキャラクターの認知度は高いですが、「彼らの世界の中に入りたい」と思う人はほとんどいないので、『スヌーピーVR』や『キキララVR』はありえない。
『キキララ』のプラネタリウムや天体イベントは考えられそうですが……まさにそこが、次の話です。

メッセージ

テクノロジーを身につけて世にうって出る人や、イベントを仕掛けようとする人や、新しい価値観を提供しようとする人は、往々にして『村八分』に遭っています。
日頃、夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる『えんとつ町』のような場所で戦っていて、プペルやルビッチのような生き方を地で行っているので、プペルやルビッチの“一挙手一投足”に共感できる部分が多い。
自分が伝えたいメッセージと、『えんとつ町のプペル』のメッセージが重なっているので、『えんとつ町のプペル』を絡めることで、自分のメッセージを届けることができる。
「メッセージが重なっている」というところがポイントで、たとえば、『ほんやのポンチョ光る絵本展』を開催したい人を募集しても、そんなに手が挙がらないと思います。
「絵のクオリティー」でいえば、断然『ほんやのポンチョ』の方が上なのですが、『ほんやのポンチョ 光る絵本展』を開催しても、主催者が届けたいメッセージを届けることはできません。
もっと言うと、主催者が主役になることができません。
「『キキララ』のプラネタリウムを企画しても、主役は『キキララ』で、主催者の気持ちがスッキリすることはない」ということですね。
……『プラットフォーム』と『メッセージ』、この二つは「発行部数」や「認知度」では語れない領域で、作品を横展開していく時に極めて重要な力だと僕は考えます。
「発行部数のわりに売れている作品」や「発行部数のわりに売れていない作品」の背景には、そういった事情があることを知ると、作品の見方に深みが出るかもしれません(*^^*)
夜分、失礼しました。
【追伸】
そんなこと言いつつ、『えんとつ町のプペル』は絶対に100万部売ります。

以上、2018年7月15日(日)に西野亮廣エンタメ研究所で投稿された記事でした。

次回予告

『表現者の自由』について。

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